賃上げ促進税制とは?最新の改正ポイントをわかりやすく解説
2024年現在、日本国内の企業に求められているのが、物価上昇を超えるレベルの賃上げを実現することです。
国としても企業の賃上げを達成するために、さまざまな施策を行っています。
そのひとつが「賃上げ促進税制」です。
この賃上げ促進税制が、令和6年度(2024年度)税制改正でさらに拡充されました。
今回は改正内容について紹介していきたいと思います。
賃上げ促進税制とは?
賃上げ促進税制とは、令和4年度(2022年度)税制改正において、従業員の給与引き上げを促進するために創設された措置です。
令和6年度(2024年度)の税制改正によりその措置の期間が3年間延長され、また措置の内容もさらに拡充されました。
令和6年度税制改正による変更点
令和6年度の税制改正により拡充された内容に注目して解説していきます。
全企業向け
全企業向けとは、個人事業主から大企業まで、すべての企業が対象となる措置です。
要件 | 税額控除率 | ||
---|---|---|---|
令和4年度改正 | 令和6年度改正 | ||
継続雇用者の給与支給額(対前年比) | +3%以上 | 15% | 10% |
+4%以上 | 25% | 15% | |
+5%以上 | 20% | ||
+7%以上 | 25% | ||
教育訓練費が対前年比+10% | ナシ | +5% | |
教育訓練費が対前年比+20% | +5% | ||
女性活躍等支援 | ナシ | +5% |
変更点は、基本となる給与支給額のアップ率がより細かく設定されたことでしょう。
また、追加要件でさる教育訓練費の項目が、前年比+10%でも控除が受けられるようになりました。
さらに女性等活躍支援による追加要件も新設されています。
中堅企業向け
中堅企業向けは、新設された区分です。
従業員数2,000人以下の法人もしくは個人事業主が対象となります。
要件 | 税額控除率 | |
---|---|---|
継続雇用者の給与支給額(対前年比) | +3%以上 | 10% |
+4%以上 | 25% | |
教育訓練費が対前年比+10% | +5% | |
女性活躍等支援 | +5% |
給与支給額が4%以上7%未満の場合は、全企業向けよりも優遇を受けることができ、7%以上の場合は、全企業向けと同等の控除率になります。
中小企業向け
中小企業向けの対象となる条件は、以下のいずれかを満たしている必要があります。
- 資本金1億円以下の法人もしくは協同組合等
- 従業員数が1,000人以下の法人もしくは個人事業主
上記いずれかの条件を満たす場合、以下の控除を受けることが可能です。
要件 | 税額控除率 | ||
---|---|---|---|
令和4年度改正 | 令和6年度改正 | ||
継続雇用者の給与支給額(対前年比) | +1.5%以上 | 15% | 15% |
+2.5%以上 | 30% | 30% | |
教育訓練費が対前年比+5% | ナシ | +10% | |
教育訓練費が対前年比+10% | +10% | ||
女性活躍等支援 | ナシ | +5% |
基本要件となる給与支給額の上昇率に関しては、令和4年度改正と条件は変わっていません。
変更点は、教育訓練費の上昇率が5%以上で控除対象になったことと、女性活躍支援による要件が追加されたことです。
まとめ
令和4年度に創設された、賃上げ促進税制は、令和6年度改正で3年間の延長に加え、要件の拡充が実施されています。
さらに控除額に関しては、繰り越し控除も可能となっていますので、うまく活用して節税につなげたいところです。
自社が賃上げ促進税制の要件を満たしているかどうかがわからない、もしくはどの区分で申し込むのかわからないという場合は、税理士に相談しましょう。
繰り越し控除の要件も勘案したうえで、最適な選択ができるでしょう。
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